世界遺産の一つの形態、シリアル・ノミネーション・サイト。
こんにちは!ありあとです☆
三内丸山遺跡(青森市)など17の遺跡で構成される「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、世界遺産登録がほぼ確実な状況になりました。
ニュース自体は大変喜ばしいものですが、広範囲に点在する複数の資産を一つの世界遺産とすることについて疑問を持った方も多いのでしょうか。
近年、世界遺産の一つの形態、「シリアル・ノミネーション・サイト」として登録申請するケースが増えています。
シリアル・ノミネーション・サイトとは
世界遺産というと、「姫路城」や「知床」など単一の資産や地域のことをイメージする方も多いかと思います。
世界遺産には、地理的には分散していても、一つのテーマでこれらをまとめ、そのテーマに即した遺跡群をひとまとめにして推薦する方法があり、このような世界遺産を「シリアル・ノミネーション・サイト」と呼びます。
シリアル(serial)は「連続性のある」、ノミネーション(nomination)は「推薦する」、サイト(site)は「遺産」という意味です。
最近では、この「シリアル・ノミネーション・サイト」での登録が増えていて、さらには国をまたいで構成される「トランスバウンダリー・サイト」での登録もあります。
日本のシリアル・ノミネーション・サイト
明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業
8県(岩手県、静岡県、山口県、福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県、鹿児島県)の23資産により構成され、2015年に世界遺産に登録されました。
西洋地域以外の地域において初めて、幕末から明治期にかけて急速な発展を遂げた炭鉱、鉄鋼業、造船業に関する文化遺産です。
北は岩手県釜石市の橋野鉄鉱山・高炉跡、南は鹿児島県鹿児島市の寺山炭窯跡までと広範囲に移籍が点在しています。
北海道と東北における縄文遺跡の関連性
北海道と東北における縄文遺跡の関連性はどのようなところになるのでしょうか。
「北海道・北東北の縄文遺跡群」では、以下のとおりとされています。
縄文時代は、草創期、早期、前期、中期、後期、晩期の六期に区分されますが、北海道・北東北の縄文遺跡群では、縄文時代を定住の開始・発展・成熟の過程を示す3つの大きなステージに区分し、さらにそれぞれを2つに小区分しています。
各構成資産は、遺跡の構造の変遷や立地環境により、この6つのステージに位置づけられ、連続性のある資産として縄文遺跡群全体の顕著な普遍的価値に貢献しています。
まとめ
単独の遺産としては世界的な価値は認められなくても、地理的に離れた複数の資産を一体的なストーリーで語ることができれば世界遺産として認められる余地があるのは、非常に面白いと思います。
一方で、今回の「北海道・北東北の縄文遺跡群」のように地理的に離れていると、遺跡ごとの関連性がわかりにくく、価値を感じられなくなる懸念もあります。自治体の方々には、わかりやすいストーリーで遺跡群を紹介するなどを取り組みを進めてほしいと思います。