かすむ地方創生。東京一極集中は是正できるのか。

こんにちは!ありあとです☆

先日、最新の国勢調査結果が公表され、北海道でも特に地方部での減少が顕著ということが明らかになりました。

www.hokkaido-np.co.jp

少子高齢化や東京一極集中が進む中、地方の人口が大幅に減少することは当然想定されていましたが、私の頭の中にうかんだのは「『地方創生』ってなんだったのだろうか?」という疑問でした。

 

 

 

地方創生とは

最近では話題になることが少なくなった地方創生ですが、そもそもは第2次安倍内閣によって、2014年から進められた地方活性化を目的とした政策です。「まち・ひと・しごと創生法」を制定し、「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015~2019)」に基づいて政策を進めることとされました。

政策の一つの大きな目標として、「東京一極集中」の是正が挙げられ、本社機能を移転させた場合の税の優遇制度、23区内にある大学の定員抑制などが進められました。

「東京一極集中」が進むと地方が衰退していくことに加え、出生率が低い東京に若者が集中すると人口減少に拍車がかかるため、なんとしてでも止めなければという観点で進められたものです。

また、地方自治体にも地方版総合戦略の策定を促し、国を挙げての取り組みを進めました。

 

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 文化庁だけ?の省庁移転

東京一極集中を進める上で、当時話題になったのが、霞ヶ関にある省庁を地方に移転させる「省庁移転」です。

消費者庁特許庁などの移転が議論となりましたが、結局移転となるのは文化庁京都府)だけ。移転できない理由は、「官邸や関係省庁との迅速かつ密接な調整が必要な危機管理業務や国会対応は不可能」「全国からのアクセスが問題」「なぜその地域に移転するかの説明が困難」など最初から想定できたものが並びます。結局、国会対応をはじめ、関係機関との様々な調整業務などを考えると、東京が便利なのでしょう。

企業にも本社機能を地方に移転させることを求めているにもかかわらず、省庁がこのような対応なのでは、東京一極集中が止まるとは思えません。

とはいえ、移転することになる省庁の職員にとっては、地方への移住を強制されるわけで、反対する気持ちは充分に理解できます。

取り組みの結果は

5年間の取り組みの結果はどうだったのでしょうか。

「東京一極集中」の是正を進める上での数値目標が「2020年時点で東京圏から地方への転出・転入を均衡」です。実際の結果はというと、見事に失敗し、むしろ2019年までは東京への流入が加速するという結果に終わりました。

 

<東京圏への転入超過人数>

2015年  10万9000人

2019年 14万6000人

2020年  9万9000人←「0」が目標

 

2020年は新型コロナウイルスの蔓延という影響があったものの、東京の転入超過という状況は変わっていません。感染症の終息後は元の水準に戻ってしまうのではないでしょうか。

今後は「関係人口」に軸足

2020年からは第2期の総合戦略期間が開始(~2024年)されており、その中では「関係人口」の創出を対策の柱にしています。

関係人口ってなに?という方も多いでしょう。関係人口とは「移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと」です。それでもよくわかりませんが、具体的には「地域外から地域の祭りに毎年参加し運営にも携わる人」「副業・兼業で週末に地域の企業・NPOで働く人」などのことです。

地域の担い手が減少する現状において、地域外の「関係人口」にその役割を担ってもらい、最終的には移住につなげようという意図があります。発想としては面白いと思いますし、局所的には成功する事例も多くあると思いますが、全体として「東京一極集中」を止めるほどのインパクトには欠けます。

最後に

新しい総合戦略では、「東京圏から地方への転出・転入を均衡」を2024年に伸ばした目標設定をしています。

新型コロナウイルスを機にテレワークが推進され、東京一極集中が緩和することも期待されますが、2020年でも大幅な転入超過であったことを踏まえると目標の達成は望めないのではないでしょうか。

2024年になったら、第3期の総合戦略が策定され、今度は「東京圏から地方への転出・転入を均衡」が2029年までに目標が延長されていることでしょう。